企業領域で「キャリアコンサルタント」が活躍する近未来(後編)

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企業領域でキャリアコンサルタントが外部専門家として活躍する未来

 私の会社もキャリアコンサルティングを事業に取り入れているが、コネクションが無い会社へいきなり提案することは  ハードルが高く、企業紹介をいただき、雑談を交えた現状の話し合いから見出した課題を後日、ご提案するのが現在の流れである。

 5万人を超える「国家資格 キャリアコンサルタント」のうち、企業領域で事業として活躍する人が少ないのは、企業側の問題だけではなく、私的見解となるが、個人の問題もあるのではないかと考える。厚生労働省が普及拡大を進めている「セルフ・キャリアドック」や各団体の「キャリアコンサルティングがもたらすキャリア支援の効果」の認知度向上への取組状況もあるが、これでは、第三者への依存が高く他人任せとなってしまうので、活路は自分自身で模索しなければならないと感じる。様々な「国家資格」はあるが、同じ国家資格でもキャリアコンサルタントは資格取得しても収入面が確保できるという資格ではない。ある統計資料ではキャリアコンサルタントの資格保有者で実務としてキャリアコンサルティングを行っていない人の構成比は想像以上に高く、「資格取得=実務開始」とはなっていないのも現状と言える。

 また、上位資格として「キャリアコンサルティング技能検定」があるが、2020年時点での資格保有者は1級技能士が432名・2級技能士は9,762名(※試験実施団体:キャリアコンサルティング協議会発表値)の資格取得者がいるが、一定の受検資格が必要で「国家資格 キャリアコンサルタント」の資格を取得してもすぐに受検できるものではない。(上位資格を習得しても活躍できるわけではない)
企業領域で活躍している方の多くは「ダブルキャリア」を以て活躍されている方が多く、社会保険労務士・産業カウンセラー・ファイナンシャルプランナー・研修講師などが、関連する資格として多いと思われる。

 個人の相談であれ、企業内でのキャリア相談であれ「相談者の活き方働き方」の交通整理を担う重要な役割と考えると、資格取得以降も自己研鑽することが重要であり、「調べる・学ぶ」インプットと「キャリアコンサルティングの実践」アウトプットを積み重ねることでキャリアコンサルタントとしての能力向上に努めなければ、市場におけるキャリアコンサルタントの価値が向上することは無いと感じる。(資格コレクターや実務を考えていない方は該当しませんが・・・)

 私自身の話、これまでの経験を活かして得意分野・領域を構築しているが「組織開発・組織キャリア開発」の論理的理解と実践・アプローチは「組織キャリア開発士」の養成講座から学び、自分自身の「器」をさらに大きくすることができたと感じているが、インプットができた段階で、実践につなげられていないので、これからという感じである。スタートポイントとして「国家資格 キャリアコンサルタント」の資格を取得して、自分自身が将来どの領域で活躍していきたいのかをある程度明確に設定することで、その領域に必要とされる「能力・知識・経験」を積むことが「キャリアコンサルタントとして活躍」する準備段階であると考えている。そう、キャリアコンサルタント的に言えば「興味関心領域」の洗い出し、「中長期のキャリアビジョン」の立案と具体的行動計画の作成であろうか?

 長文になってしまったが、「国家資格 キャリアコンサルタント」の資格をベースとしてどのような領域で何を達成したいか?を考える一考察となればと思っている。

古市 健