社会構成主義とナラティブキャリアカウンセリング

 今回は、前回のAI(Appreciative Inquiry)のベースになっている考え方ですが、「社会構成主義」についてご説明します。そして「ナラティブキャリアカウンセリング」がテーマとなります。

 社会構成主義とは、私なりに簡単に定義すると「社会は言葉で構成されている」という考え方です。私たちキャリアコンサルティングの例で言えば、「引きこもりは良くない」という言葉が社会に蔓延しているとします。そうすると、その言葉を受けて、本当に引きこもってる人も「自分は良くないことをしているんだ」と思います。その言ら葉がその人のなかに入り込んでしまって、思い込んでしまっている、これが社「社会は言葉で構成されている」ということです。それに対して、もしも違う言葉を発していたら。例えば、「学校へも行かないけれど耐える力があるんだ」というように多くの人が考えているとすると、みんなが学校に行かなければいけないと言っている中で、そのような生き方を選べるとはすごい人だなと、世の中はそのようなものだと取られられるようになります。このように、私は考えています。

 それをキャリアコンサルティングの世界で、どのように使うかということを説明します。サビカスはその影響を受けてキャリアカウンセリングの世界にも、この考え方を取り込んでいます。キャリアコンサルティング以前にも「ナラティブセラピー」ということで、心理カウンセリングの世界にもある程度が広がっています。

 キャリアコンサルティングの世界では、「ナラティブキャリアカウンセリング」という言い方をされています。

 ナラティブ(narrative)は、物語るという意味です。キャリアコンサルティングの世界では、その人自身の新しい物語を作り出すことを支援することが、ナラティブキャリアカウンセリングにおけるキャリアコンサルタントの役割りです。先ほどの例では、引きこもってしまって自己効力感が低くなっているクライアントと一緒に、そうではない言説を考えていく支援をします。先ほどの例のように忍耐力だけでなく、その人自身の物語を紡ぎだすことができるのです。キャリアコンサルタントがその支援をすることで、クライアントの人生の未来が開けていく、ということが「ナラティブキャリアカウンセリング」となります。

 私たちキャリアコンサルタントは、人を助けるという職能です。国家資格 キャリアコンサルタントにも関心を持っていただければと思っています。

上記コラムの説明動画です。

組織キャリア開発フォーラム ホームページ

組織キャリア開発フォーラムFacebookページ

(柴田郁夫)