なぜキャリアコンサルタントは素晴らしいファシリテーターになれるのか(2)

 前回の続きで、「なぜキャリアコンサルタントは素晴らしいファシリテーターになれるのか」についてご説明します。

 このコラムは、キャリアコンサルタントの方々に読んでいただきたいと考えています。国家資格であるキャリアコンサルタントを取得してフリーランスとして活動しているのに、あまり仕事がないと悩まれている方が多いです。私が代表理事を務めている一般社団法人 地域連携プラットフォームでは、その方々に対して「もっと仕事の幅を広げましょう」と言っています。そこが実施しているキャリアコンサルタント養成講習では、グループアプローチにも力を入れています。それは、1対1のカウンセリングだけでなく、1対多のグループワークのファシリテーターにもなることで、企業向けの研修などが十全にできるようになります。そうすると、企業から仕事を得ることで、私たちの仕事の幅を広げることができるのです。

 前回、ご説明した「ファシリテーターになるための9つの要件」の続きです。5番目は「明確な作業仮説」です。これは、1対1のカウンセリングの際の、クライアントの課題や問題点を考える「見立て」にあたります。グループに関しても、そのグループがどのようなグループであるかを見立てるということが重要です。この点でも、キャリアコンサルタントの技量と同じだと考えています。

 

 6番目は「観察眼」です。前の話とつながるのですが、「見立て」をするためには「観察」をしなければなりません。カウンセリングでは一人のクライアントのことを観察しますし、同じようにグループを観察することも重要なことです。「観察眼」の細かい話、どういうところをどういう風に観察しましょうというのは、キャリアコンサルタントのアドバンストコースである「組織キャリア開発士養成講座」で説明しています。そこでは、グループに関しても、どのような視点で見るのか、そのグループはどのような状態にあるのか、というような話もしています。

 7番目は「役割取得の柔軟さ」です。これは、キャリアコンサルタントが1対1の時と、1対多のグループの時とで、若干異なるかもしれません。1対1の時は、キャリアコンサルタントはカウンセラーとしてクライアントに対応しますが、1対多の時はファシリテーターとなります。その際の「役割取得の柔軟さ」とは、例えば、そのグループにある種リーダーシップをとってくれるような人がいたら、グループの中の人への指示をするとかお願いするとかのリーダーシップ役割は降りても構わないということです。その場合には、その人にお任せしてしまって、自分は黒子としてただ観察しているだけというように、役割を柔軟にするということです。

 8番目「信用」、9番目「技能的な蓄積」です。これらは、ベースになるものであるので、キャリアコンサルタントもファシリテーターも同じだと考えています。1対1のカウンセリングの時には、クライアントから信用、信頼されないと、もちろんいいカウンセリングはできません。ラポールの形成は当然のことです。これは、1対多のグループのファシリテーションの時も同じです。

 最後の「技能的な蓄積」も考え方としては同じです。キャリアコンサルタントとしての技能的な蓄積も必要ですし、同様にグループに対峙するときのグループアプローチの技能的な蓄積これも必要です。このグループに対する時には、「観察眼」のところでも述べたように、グループを見る目の技能やスキルがあります。考え方としては同じですが、1対1と1対多で蓄積すべき技能が若干異なります。キャリアコンサルタントのスキルプラスアルファの技能が必要となります。ただし、「技能的な蓄積」が必要だということは共通しています。

 前述の「組織キャリア開発士養成講座」では、技能的な話として「観察眼」、グループを見る目やグループをよりよくファシリテートするスキルについても説明しています。

上記コラムの説明動画です。

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(柴田郁夫)