個人の活力を引き出し、組織の成長へつなげる「セルフ・キャリアドック」(後)

 前回に引き続き、従業員の活力を引き出し、組織の成長へつなげる「セルフ・キャリアドック」についてお伝えします。
 (「個人の活力を引き出し、組織の成長へつなげる「セルフ・キャリアドック」(前)」

 それでは、セルフ・キャリアドックの具体的な事例を見ていきましょう。

事例(Case study)

採用支援会社勤務のB課長からのご相談。
部下の女性Aさんが最近やる気がなく、営業の成績も伸び悩んでいる。
入社3年目だが、これまでは前向きに取り組んできていたが、指示をしないと動こうとしない。
このままだと退職してしまうのではないかと懸念している。
まずはAさんと面談をして、Aさんの本音を聴き出し、モチベーションを高めてもらいたい。

面談前(Before)

面談でAさんは以下のように語った。
営業の成績が伸び悩んでいる。成績も上がらずモチベーションもダウン。
何のために仕事をしているのかわからなくなってきてしまった。
課長からは「もっと積極的に動け」と言われるが、それがプレッシャーだし、そもそも
何もサポートしてくれない。相談しようと思っても、周りは忙しそうで相手もしてもらえない。
辛いしそろそろ自分の方向性を考えた方がいいと思っている。

面談で実施したこと(Do)

  1. キャリアの棚卸し
    営業職としての経験や得た力の整理
  2. 自己理解
    入社理由、現在の想いの整理、営業職としてのやりがいの整理、成功体験から強みの整理
  3. 環境理解
    上司や周囲からの評価、期待の把握、会社や部門のビジョン把握、組織内の人間関係を可視化
  4. キャリアビジョン・行動計画策定
    望ましい状況、ありたい姿の明確化、目標に向けての方策、行動計画策定

面談後の変化(After)

営業職でのやりがいや達成感を感じたことを整理する中で、営業職として続ける意味づけができ、「採用という観点から企業の発展のために役立ちたいという想いがある」「人の育成にも関心があり、後輩を指導できる立場になりたい」という実現したいこと、ありたい姿が明確になり継続して頑張りたいという気持ちになった。
営業職としてスキル向上を図るためのセミナー参加も検討。

面談後の報告の一例(Report)

先輩社員や上司が忙しすぎて、新人や部下の育成、フォローアップ体制ができていない。 故に悩みがあっても相談できる相手がおらず、モチベーション維持が難しい状況になっている。個人商店になっていて、チーム全体で協力しあい一丸となって達成しようという風土に欠けている。
営業手法も個人の能力に委ねられていて、成功事例の共有や能力開発の機会が少ない。

面談報告を受けての企業側の対応(Result)

  • OJT制度を導入。新人には1年間先輩社員が育成をしてお互いに成長しあえるような体制にした。
  • 上司との定期面談制度を導入し、査定・評価以外にも部下が自らキャリアビジョンを設定できるような支援体制を整えた。
  • 評価制度を見直し、チームでの目標達成を評価基準に盛り込んだ。
  • 朝礼や夕礼にて成功事例の共有時間を設定。営業マニュアルも作成し、営業力向上にむけた研修も実施。

 上記ケースのように、課長から見たら「個人の問題」として捉えていたものが「組織の問題」として捉えることができ、組織としてのやるべきことが見え、課題解決につなげていくことができます。

 昨今の社会情勢から、新入社員を迎え入れたが、在宅勤務をさせていて十分なフォローができていない、部下とのオンライン上でのコミュニケーションが十分に取れていないなど課題を抱えていらっしゃるマネジメント層の方も多いかと思います。

 この機会に、「セルフ・キャリアドック」をご検討してみてはいかがでしょうか。
「セルフ・キャリアドック」の導入には、組織キャリア開発フォーラムが、導入から運用まで伴走をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

セルフ・キャリアドック(グローリンク株式会社)

中藤 美智子

(中藤 美智子)