国が示した「働き方の三位一体の改革」とキャリコン資格の有用性関係構築について

政府が度打ち出した「働き方の三位一体の改革」。

働き方の三位一体の改革

政府が昨年度打ち出した「働き方の三位一体の改革」は、日本企業が直面する労働力不足や生産性向上の課題に対応するための包括的な取り組みです。その柱は ①リスキリング支援、②職務給の導入・人事制度改革、③成長分野への労働移動の三つであり、従来の「長時間労働是正」や「同一労働同一賃金」といった枠組みをさらに発展させた政策と言えます。

① リスキリング支援
急速に進むDX・GXの波に対応するため、従業員が新たなスキルを習得できる仕組みを整備することが求められています。政府は教育訓練給付制度の拡充や、企業における学び直し投資への税制支援を打ち出しました。人事部門としては「学びを実務にどう結び付けるか」が重要であり、単なる研修実施ではなくキャリアパスとの連動が不可欠です。

② 職務給の導入・人事制度改革
年功序列・メンバーシップ型雇用から脱却し、仕事の内容や役割に基づいた賃金体系=職務給を広げる方針が示されました。これにより、専門性を発揮できる人材を適切に評価・処遇することが可能になります。人事としては、ジョブディスクリプションの明確化や評価基準の透明化が求められ、従来の「曖昧な総合職文化」からの転換が大きなテーマとなります。

③ 成長分野への労働移動
人口減少の中で労働力を有効に配置するため、構造的に縮小する産業から成長分野への円滑な人材移動を促す政策です。政府は転職支援や職業紹介機能の強化を掲げ、企業には「余剰人員を抱えるよりも外に出す」という選択が現実的になっています。他方で、社内のキャリア相談やセカンドキャリア支援も不可欠であり、人事には従業員の安心感を高めつつ変化を促すファシリテーター役が期待されます。

人事部門の方々への示唆

この改革は単なる制度改正にとどまらず、企業文化の変革を迫るものです。
人事部門は、①社員が主体的に学びキャリアを描ける環境整備、②職務内容に基づく公正な評価制度の設計、③外部への人材移動を前提としたキャリア支援の三点を同時に進める必要があります。従来の「雇用の安定」を守るだけではなく、「成長と移動を通じた安定」へと発想を転換することが、人材確保と組織の持続的成長に直結するでしょう。

人事が「キャリア支援の専門家」になる時代へ

社員のキャリア自律を支えるうえで、人事担当者自身がキャリア支援の専門性を持つことは、これからの時代にますます重要になります。そのための実践的な資格として注目されているのが「キャリアコンサルタント(国家資格)」です。
この資格では、キャリア理論やカウンセリング技法を体系的に学ぶだけでなく、「傾聴」「問いかけ」「リフレーミング」など、社員の意欲や強みを引き出すスキルを身につけることができます。制度や仕組みを整えるだけでは得られない、“人の成長を支える実践力”が養われるのです。
実際、キャリコン資格を持つ人事担当者は、面談やキャリア面接の場面で社員の信頼を得やすく、学びやリスキリングの動機づけにも高い効果を発揮しています。社員の「学びたい」「成長したい」という気持ちを引き出せる人事こそ、これからの組織に求められる存在です。
人事の専門性を一段高めたい方にとって、キャリアコンサルタント資格は大きな武器になります。キャリア支援を体系的に学ぶことで、制度と人をつなぐ“戦略人事”への第一歩を踏み出せるはずです。

執筆者:柴田郁夫
(一般社団法人地域連携プラットフォーム代表理事、1級キャリアコンサルティング技能士)