キャリアコンサルタント やりがい 良かったこと
キャリアコンサルタント やりがい 良かったこと

キャリアコンサルタント(キャリコン)の国家資格を取得するためには、一般的に、養成講習を修了した上で、国家試験に合格しなければなりません。
費用も労力も時間も、それなりに必要です。
そんなに頑張ってまで、取得する価値のある資格なのでしょうか?

その価値は十分にある、と筆者は思っています。

だれかに喜んでもらえる仕事

筆者が「キャリコンになって良かった!」と感じるのは、何と言っても、支援した方に喜んでもらえた時です。
だれかの人生の大きな節目に立ち会い、その新たな一歩への選択にかかわり、その結果「ありがとう」と言っていただける……とても幸せでやりがいのある仕事だと思います。

初めてキャリコンとして支援した時のことは、忘れられません。

筆者は現在、職業訓練校でキャリアコンサルティングを担当していますが、ここでの初めてのキャリアコンサルティングは、実はイレギュラーなものでした。
ある訓練生が、「急いで求人に応募したいので、提出書類を添削してほしい」と、突然来訪したのです。
その訓練生の担当キャリコンは不在で、ほかに手があいているキャリコンもおらず、私が対応することになりました。
提出書類は通常の履歴書・職務経歴書ではなく、応募先独自の書式で、志望理由と自己PRを長文で書かなければなりません。
「一応書いてみたのですが、うまく書けません。何を書いていいかわからなくて」と、その訓練生は言いました。
何を自己PRしていいのかわからない、自分にPRできるようなことがあるとは思えない、そもそも、自分で自分の良いところを声を大にして言うのは苦手……という人は、とても多いのです。

しかし、就活の際には、全力で自己PRしなければなりません。
そこで、その訓練生とのキャリアコンサルティングでは、過去の職歴などを伺いながら、自己PRとして記載できそうなエピソードをいくつかピックアップし、書き方をアドバイスしました。

たったそれだけのことでしたが、提出書類は見違えるような素晴らしい文章に変わり、その訓練生は見事、その応募先に就職しました。
「添削指導していただいたおかげです。ありがとうございました」
とご報告いただいた時のことを思い出すと、今でも胸が熱くなります。

キャリコンのスキルは公私ともに役立つ

筆者の前職は、文章を書いたり編集したりする仕事だったので、「書類作成の支援が得意だからできたことなのでは」と思われるかもしれません。
そういう部分もゼロではないかもしれませんが、就活の際の応募書類を書くための根本的な支援には、別のスキルが重要なのです。

それは「自己理解」を支援するスキルです。
自己PRとして何を書けばいいかわからない……というのは、つまり、自分の良いところがわかっていないということ。

自分自身を知る、とりわけ、自分の得意なことや長所を知って、それを言語化することは、応募書類を作成するためだけでなく、やりたい仕事を見つけるためにも、非常に重要です。

でも多くの日本人は、謙虚で奥ゆかしいことを美徳とする価値観の中で育つので、自分の長所に焦点を当てることを恥ずかしく感じたり、目をそむけちゃったりするんですよね。

そこでキャリコンが「自己理解」を支援すると、まるで魔法のように、就活が前進することもあるのです。
キャリコンになるために学ぶことの中には、心理学をベースにしたものが含まれるため、ちょっと魔法みたいに見えるスキルがいろいろあります。

これらのスキルは、公私を問わずさまざまなシーンで役立ちますので、そのスキルが身についたこと自体が、実は、キャリコンになって一番良かったことなのではないかと感じています。

執筆者:サイトウユキコ
(国家資格キャリアコンサルタント、元新聞記者・編集者)