
キャリアコンサルタント(キャリコン)の資格を取得してキャリアアップしたい、という人は少なくないようです。
キャリコンの資格が必須という仕事も、人材関連の職場などにあります。その職場でキャリアアップするためにキャリコンの資格を取るのは、最もわかりやすい例でしょう。
しかし、キャリコンの資格によるキャリアアップは、人材関連業務にとどまりません。
一般的な職場での場合と、個人の場合をみてみましょう。
職場でのキャリアアップ
職場でキャリアアップするため、つまり昇進するために、キャリコンの資格は非常に役立ちます。なぜならキャリコンに必要なスキルや知識は、管理職に必須のスキルや知識と重なる部分が大きいからです。
筆者も以前、企業で管理職を務めていました。
昇進の際には、管理職としての心構えなどについて研修もありましたが、実際にその立場になってみると、どうしたらいいのか困ることばかりでした。
実務的なことは上司や前任者から教えてもらえますが、管理職になると、実務以外の部分が実はとても大切なんですよね。
そして、それは上司や先輩から教えてもらえない部分でもありました。
例えば、初めて管理職になった人は、たいてい部下との接し方に悩むことになります。
- 部下をどう育てたら良いのかわからない
- 部下に仕事への適性があるのかないのか判断できない
- 部下との面談が義務付けられたが、話しても心を開いてもらえず、成果が上がらない
- 部下から相談されたことをどう解決すればいいかわからない
- そもそも若い世代とどう接していいかわからない
- 普通にふるまっているつもりでもパワハラと言われてしまう
さらに、自分自身のふるまい方も悩みの種です。
- 会社の方針と自分の考えに差異があるが、会社に従うべきか自分の考えを貫くか迷う
- 上司のムチャぶりを部下に転嫁できず、または、部下からの要望を上に受け入れてもらえず、上と下との板挟み
- 部下がどんどん辞めていくが、自分のせいなのか
- 社内での「先」が見えてきて、このまま会社に残るか転職するか、人生を考え始める
管理職にはさまざまな苦労があって、しかも簡単には解決できないことばかり。
「自分は管理職に向いていないのではないか」と悩んでしまいますよね。
筆者も悩み、自分なりに試行錯誤しましたが、管理職ってこんなに大変なのか!と思ったものです。
ちょっと、もう、管理職は無理……と思ったことも何度もありました。
でも、当時の自分にキャリコンとしての能力があったら、解決できた部分がかなりあったと思います。
スキルと知識の使い方次第では、ほぼすべて解決できると言ってもいいかもしれません。少なくとも、今の自分だったらもっと違う取り組みができたなあと思うことがたくさんあります。
管理職として成果を上げればさらなる昇進につながりますし、自信もついて、キャリアアップに前向きになれるでしょう。
もちろん、キャリコンに相談するだけでも目の前の問題の解決に役立つと思いますが、自分自身がキャリコンの資格を持つことで、部下の相談に乗ったり、会社の運営に参画したりすることも可能になっていきます。
企業の中でキャリアアップしたい人はもちろん、起業したい人、経営者の人にもおすすめできる資格です。
個人でのキャリアアップ
フリーランスで活動している人は、キャリコンの資格を取得することで、仕事の幅を広げることにつなげることができます。
キャリコンと相性の良い仕事や資格は多く、ダブルライセンスを持つ人も多くいらっしゃいます。
あるキャリコンの学びの場で出会った社会保険労務士(社労士)の男性は、年齢を重ねるにつれて仕事が減ってきたため、キャリコンの資格を取得したそうです。
キャリコンの資格を取ったことで、社労士として相談者と接する際の立ち居ふるまいに変化があったと話していました。
社労士も「先生」と呼ばれる職業であるためか、知らず知らずのうちに「上から目線」で相談者に接してしまっていたんですね……としみじみ話していらっしゃいました。
キャリコンは「相談に乗るプロ」です。
企業内で管理職に役立つのも、この「相談に乗る」スキルが生かされるから。
そのスキルは、あらゆる相談業務に役立ち、それがキャリアアップにもつながるのです。
一方で、キャリコン資格取得のための学び自体が役立つ場合もあります。
例えば筆者の友人は、長くフリーの研修講師として活動してきました。
研修講師とキャリコンは相性の良い資格であることから、友人もキャリコン資格を取得したのですが、その学びが非常に興味深かったことから、さらに学びを深めて上位資格も取得。
現在では研修講師に加えて、キャリコンについて教える仕事もしています。
キャリコンについては現在、国が増員を図っており、資格受験者はまだまだ増えるとみられます。
キャリコンとしての知識やスキル、受験のためのスキルを教えることができる人も求められています。
あなたもキャリコンの資格を取得して、キャリアアップを目指しませんか?
執筆者:サイトウユキコ
(国家資格キャリアコンサルタント、元新聞記者・編集者)