キャリアコンサルティングに必要な法律知識(2)<失業保険編>

 引き続き、キャリアコンサルティングにおける法律知識について、解説します。

失業保険とは?

失業保険は、退職して失業状態にある人に対して、

  • 次の仕事を見つけるまでの生活の安定を図り
  • 求職活動を容易にするために支給されるもの

となっています。

 新型コロナ禍以前までは、会社の業績も好調で、解雇される、または退職を余儀なくされる、という現実は考えても見なかった方が多いかと思います。
しかし、業績の急激な悪化によって現実に、直面されている方が多いかと思います

実際に、新型コロナウィルスの影響による倒産件数は急増しています。
不測の事態に備えて、もし仕事を辞めた場合の失業保険について説明します。

 雇用保険制度の中の失業保険の給付は、新しい職業に就くまでの生活支援という役割を担っており、所定の手続きを経て、給付を受けられます。失業保険とは、正式には雇用保険と呼ばれる公的保険制度の一つです。自己都合、会社都合、定年退職などそれぞれの理由によって失業保険が支給されるまでの待機する期間が異なったり支給日数が異なったりします。

 次の勤務先が見つかるまでの期間、基本手当(通称は失業手当)を受給することができます。
しかしながら、失業保険は誰もが受給できるというわけではありません。以前の勤務先で雇用保険に加入しており、一定の条件を満たしていることが必要です。受給資格や給付の条件を見てみましょう。

【受給できる要件】
1. 失業状態にあること
2. 離職の日以前に被保険者期間(雇用保険に加入していた期間)が通算して12ヶ月以上ある方。
 または、倒産・解雇・ハラスメントなどの理由による退職者(会社都合)の人の場合、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上であること。

【給付日額】
 雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
退職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められています。

例)賃金日額が5,000円だとすると、180日の給付日数だと、就職するまでに最高
 5,000円 ✕ 180日(給付日数)=900,000円が支給されます。
 (28日ごとに失業認定する必要あり)

失業保険の受給できる金額と期間(日数)は退職理由と退職した時の年齢によって異なります。

<辞めた理由による受給資格の区別と給付日数>
1. 特定受給退職者:簡単に言うと会社都合退職(解雇・倒産など)
  特定理由退職者:ハラスメント、退職勧奨による退職

2. 自己都合退職(通称:一般退職)
  転職や起業など、個人的な都合で退職した場合がこれに該当します。
  定年退職の場合は、退職理由は自己都合退職と同様の「一般」になりますが、3ヵ月の給付制限はありません。

3. 就職困難者
  身体障害者・知的障害者・精神障害者

【支給までの流れ】
1. 必要書類(2020年4月現在、最新情報はハローワークのHPでご確認下さい)
基本(失業)手当の受給手続きは、お住まいを管轄するハローワークに赴くことから始まります。
(1)離職票-1
(2)離職票-2
(3)個人番号確認書類(いずれか1通)
   マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票
(4)身元確認書類(【1】のうちいずれか1種類 【1】の書類がない場合は、【2】のうち異なる2種類 ※コピー不可)

(本人確認書類)
【1】以下の書類のいずれか1種類
  運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
【2】以下の異なる2種類

イ 公的医療保険の被保険者証(国民健康保険被保険者証、健康保険被保険者証など)
ロ 年金手帳
ハ 児童扶養手当証書または特別児童扶養手当証書
二 印鑑登録証明書、公共料金の領収書、写真のない住民基本台帳カードなどのうちいずれか1つ

(5)写真2枚(最近の写真、正面上半身、タテ3.0cm×ヨコ2.5cm)
(6)印鑑(認印可、スタンプ印不可)
(7)個人名義の通帳またはキャッシュカード

なお、持参する書類のうち(1)と(2)は、離職前の賃金支払い状況や離職理由など等が記載されており、勤務していた会社などから交付されます
その後の流れは、以下の図となり、4週間ごとに示される認定日にハローワークを訪れ、「失業認定申告書」を提出して失業の認定を受けることが必要です。

求職の申し込み後の流れ

今まで、雇用調整助成金は、企業を中心に整備され、事業主からの申請がなければ支給されなかったわけですが、
今回の、労働者の生活を直接的に保障し要件が整えば、労働者自身から直接請求できる「みなし失業」は、雇用調整助成金に替わり、労働者の生活を支える措置となると思われます。
次回は、この「みなし失業」について、詳しくご説明いたします。

(齊藤 晃人)